Wix × PayPalが提携。AI検索時代のECはどう変わる？日本の事業者がいま押さえるべきポイント

日向凛
3 時間前
読了時間: 5分

WixはPayPalと戦略的パートナーシップを締結し、PayPalが新たに展開する「エージェンティック・コマース（AgenticCommerce）」にWix加盟店舗がいち早く参加できるようになりました。

この発表は、単なる「決済手段の追加」ではありません。AI検索時代において、ECがどこから流入し、どのように購入されるかという購買導線そのものが大きく変わり始めていることを意味します。

本記事では、この提携が日本のEC事業者にどのような影響を与えるのかを分かりやすく解説します。

AI時代のショッピングは“検索しない”方向へ進む

PayPalの「エージェンティック・コマース」は、ユーザーがAIに相談→最適な商品が提案される→そのまま決済という新しい購買体験を提供します。

例えばユーザーが、「敏感肌に合う化粧水でおすすめは？」「出張用に軽いノートPCを探している」とAIに質問すると、AIが裏側でPayPalの商品データを参照し、条件に合う商品を提案します。

これは従来の

検索する
比較する
公式サイトへ遷移する

という流れが、AIによる1ステップで完結することを意味します。

Wixストアは、今回の提携により、まさにこの「AIチャネルでの発見」に自動対応できるポジションに立ちました。

中小ECでも「AI最適化された商品表示」が可能に

本来、AIによる商品提案に対応するには、

高度な構造化データの整備
商品フィードの最適化
API連携開発

などといった専門性が求められます。

しかし今回のパートナーシップにより、Wixユーザーは商品データをPayPalと同期するだけでAIチャネルへの露出が可能になります。

つまり、今までは大手ECだけが持っていた「AI検索で見つけてもらえる仕組み」を、中小企業でも簡単に利用できるようになるのです。

PayPal決済が「AIコマースのインフラ」へと進化

PayPalは今後、以下をセットで提供する予定です。

AIでの商品発見
AI内でのチェックアウト（2026年初旬リリース予定）
不正検知やバイヤー保護のシステム

つまり、PayPalは単なる決済手段ではなく、AIコマースの基盤となる「購買エンジン」へと進化していきます。WixストアがPayPalを導入するメリットは、急速に拡大していくでしょう。

2025〜2026年は「AIショッピング導線のシフト期」になる

AIエージェント、AI検索、AIコマース。これらが本格的に普及するのは2025〜2026年と予測されています。

この時期に、AIチャネルを活用できる事業者と、旧来型の導線に依存し続ける事業者では、流入量と売上に大きな差が生まれます。

AIにおすすめされる商品
AIの回答内で決済まで完了する商品
AIが閲覧履歴から最適化して提案する商品

これらに掲載されるための「入口」として、今回のパートナーシップは極めて重要です。

Wix制作会社・EC事業者の新たなビジネスチャンス

今回の提携により、日本におけるWix制作会社は次のような新しい提案が可能になります。

　新しい価値提供の例

AI検索に最適化されたWix ストアの構築
AI時代の顧客体験に対応した商品データ整備
AI検索・AIショッピング対応のECコンサルティング

AI×Wix×PayPalの組み合わせは、日本ではまだ情報が少ない領域です。市場をリードする立場をいまから確立することが可能です。

まとめ AIコマースは「既に始まっている未来」

今回のWix×PayPalの提携は、次のような未来を意味します。

AIが商品を「探し」「選び」「おすすめする」
AIチャネルから直接決済される
中小ECでもAI検索による流入が可能に
WixユーザーはAIコマースの初期参加者になれる

AI検索・AIショッピングは、もはや遠い未来ではありません。Wixユーザーは今まさに“AI時代のEC”へ最短ルートで参加できる立場にあります。

2025〜2026年は、ECの在り方が大きく変わる転換期です。AIを活用した新しい販売チャネルを、ぜひ今のうちから取り入れてみてください。

プレスリリース要約

プレスリリース：https://www.wix.com/press-room/home/post/wix-partners-with-paypal-becoming-strategic-partner-for-paypal-s-new-agentic-commerce-solution

概要

WixはPayPalと戦略的パートナーシップを結び、PayPalが展開する「エージェンティック・コマース（agenticcommerce）」ソリューションにおいて、Wixの加盟店舗が先行的に参加可能になることを発表しました。

主な内容

Wix加盟店舗は、PayPalの新たなエージェンティック・コマースサービスを通じて、AIを活用した商品発見（商品カタログのAIチャネル上での可視化）およびチェックアウト（支払い）を実現できるようになります。
このサービスは、商品のデータ・在庫情報をPayPalに同期し、追加の技術的な開発リソースをあまり必要とせずに、AIチャネル上での購買体験に参加できる形態となっています。
加盟店舗のメリット
- 迅速な価値創出：ストア同期機能により、Wixの商品カタログがサポートされるAIチャネルで即座に発見・購入対象となる可能性。
- 発見機会の拡大・購買意思の高いチャネルへのリーチ：従来の検索・閲覧型ショッピングを超え、AIを介したインテント強度の高い購買プロセスに参加。
- 顧客関係の維持：Wix加盟店舗がレコード・オブ・レコード（店頭の記録）を引き続き保持し、ブランド可視性および顧客とのコミュニケーションにおいて優位性を保つ。
対応チャネルとしては、PayPalアプリ内の「ショッピング・エージェント」（一部市場でテスト中）およびPerplexity（2025年末までに対応予定）などが示されています。
支払い機能（エージェンティック・チェックアウト）は2026年初旬のローンチを見込んでおり、AIチャネル上での購入をPayPalの支払い・不正検知・バイヤー保護機能とセットで提供。

提携の意義

Wixにとって：AI主導の次世代ショッピング体験に自社加盟店舗を早期にアクセス可能とし、Wixのeコマース機能強化と加盟店舗支援の競争優位性を高める機会となります。
PayPalにとって：Wixのネットワークを通じて、多数の中小から中規模のeコマース事業者を自身のエージェンティック・コマース基盤に早期に取り込む戦略的パートナーシップとなります。
加盟店舗（Wixユーザー）にとって：AIチャネルでの発見・購買機会の拡大と、ブランド主導の顧客接点維持という二重のメリットが期待されます。